Piano:佐竹 裕介(Yusuke Satake)
[プログラム]
ダンボア / 古いスタイルのソナタ
M.Dambois / SONATE DANS LE STYLE ANCIEN op.20
セルヴェ・グレゴワール共作 / マイヤベーアの「預言者」によるデュオ
F.Servais/J.Gregoir / DUO "Le Prophete"
ホルマン / カルメン ファンタジー
J.Holman / Carmen Fantasie
ダンボア / ポエム、パピヨン、悲歌、グリーン、
M.Dambois / Poeme, Papillons, Chant Elégiaque, Green,
セルヴェ / オ・カラ・メモリアによるファンテジーとヴァリアシオン 作品17
F.Servais / O Cara Memoria, Fantaisie et Variations
*プログラムは変更になる場合があります
フランコ=ベルギー楽派
ヴァイオリン界では19〜20世紀初頭にかけて、ベリオ、ヴュータン、イザイらに代表されるベルギー楽派が確固たる地位を形成していましたが、同時期にチェロにおいても名手が最高水準の演奏技術を持っていました。
ベルギーは弦楽器を学ぶ聖地として繁栄していました。
ベルギー楽派中心的チェリスト「セルヴェ」1807〜1866
ブリュッセル近郊ハレ生まれの当時を代表するチェリスト作曲家F.セルヴェは、ヴァイオリンの技術をそのままチェロに当てはめたような作風で「チェロのパガニーニ」と言われていました。ベルギー駒やエンドピンの発明者で、ウィーンフィルの創立記念演奏会でソリストも務め、彼の弟子や孫弟子からは、優秀なチェロ奏者が数多く育ちました。
セルヴェ協会名誉会員の林裕が厳選した傑作の数々
林裕は2018年にベルギーのセルヴェ協会から招待を受け、協会発足15周年の記念演奏を現地で行い、セルヴェの絶版楽譜も数多く閲覧しました。今回のコンサートでは協会から特別に提供していただいたセルヴェ作品に加え、フランコ=ベルギー楽派に属するチェリスト、ホルマンとダンボアの作品を演奏します。ホルマンは日本の徳川家とも縁があり、南葵音楽文庫に千点以上の楽譜が残されています。ダンボアはイザイとトリオを組んでいた没後50年のチェリストです。
F.Servaisが活躍した当時は、現代に通じるモダン弓のスタイルが、チェロの奏法の発達とともに確立した時代でもありました。
本シリーズの演奏会では“The Servais”という名を持つ19世紀初頭に製作されたチェロ弓が使用されます。弦楽器、特に弓への造詣が深いことで知られた故五十君守康氏(1930-2017)がコレクションされていた門外不出の1本であり、現在、ベルギーServais協会の協力も得て、Servais一族とこの弓との関係が調査されています。フランコ=ベルギー楽派の音楽を当時の豊かな深い音色で楽しんでいただけるものと思います。
|